Facebookのスマートフォン戦略

Posted by 服部 丈 

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様々な仕様変更を続けるFacebookですが、次なるターゲットとして注目が集まるのがモバイル。スマートフォンを筆頭にデバイスの進化が続く中、着実に計画を進めている印象があります。

 

Facebookはモバイル向けに様々な広告や機能追加を実行している

↑Facebookはモバイル向けに様々な広告や機能追加を実行している。

 

現在の利用状況を調べると、Facebookがモバイルに注力する理由が見えてきます。公式情報ではユーザーの約半分がモバイルからログイン。昨年12月には5800万人以上のユーザーが、モバイル端末のみからFacebookを利用していることが明らかになっています。これは1か月に1度はモバイルからアクセスするユーザー層(約4億3200万人)のわずか13%ではありますが、この数字が伸びていくことは確実視されています。なぜなら、アジアやアフリカではPCではなくスマートフォンからwebを利用しており、そのユーザー数は急激な勢いで増えているからです。

 

Facebookが行ってきた仕様変更のいくつかは、モバイルへ力を入れる姿勢を物語っています。今年2月のマーケティング関係者向けイベントで、携帯電話のニュースフィードに広告を配信することを発表しました。さらに、その広告は現在進行形で改良中。ブランドに好意的な反応をしたユーザーの投稿を「スポンサード・ストーリー」として配信する機能を盛り込むなど、ソーシャルグラフをフル活用する動きもあります。最近ではモバイルのみの広告配信も可能になりました。モバイルでの写真の表示が大きくなるなど、細かい部分でアップデートも見逃せません。

 

今年2月のWorld Mobile Congressという世界規模のイベントでは「W3C Mobile Web Platform Cor Community Group」という団体を立ち上げました。こちらは30を超える携帯電話の製造業者、通信事業開発者、などがモバイルブラウザの世界標準を決めようというコミュニティ。SNS企業がこういった団体へとコミットすることに、並々ならぬ覚悟が感じられます。プラットフォーム作りについても、すでに動き始めている訳ですね。

 

最近の企業買収にも、Facebookのモバイルへの真剣さがうかがえます。まずは記憶に新しいところで今年4月にスマートフォン向け写真投稿アプリの「Instagram」を買収。10億ドルという買収金額は話題を呼びましたが、SNSにおけるビジュアルの重要性を考えた結果として出てきた金額なのでしょう。さらにPCブラウザのOpera買収の噂も出ています。こちらのブラウザは世界的なシェアは少ないのですが、その特徴はスマホでメインブラウザとして利用されている割合が高い点。もちろんIT企業として垂直統合を目指している可能性も否定はできませんが、こういったところにもモバイルの影はちらつきます。

 

Facebookのモバイル戦略は現在進行中

↑Facebookのモバイル戦略は現在進行中

 

まだまだFacebookのモバイルアプリには課題も多く、使い勝手も素晴らしいとは言い切れません。それでも前へと進む姿勢には変わりはなく、驚異的なスピードで改良されています。また、そこに新しいビジネスチャンスが生まれていることも事実。デバイスの進化がもたらす”果実”を、しっかりと有効活用していかければなりませんね。

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