WDEレポート “Future of Web”―Luke Wroblewskiメモ翻訳

Posted by 角谷 仁 

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前回に引き続き、7月29日に大阪TAMコワーキングスペースで開催されたWeb Directions East 2012のレポート記事です。Web Directionsグループ代表のJohn Allsopp氏の講演についてLuke Wroblewski氏がメモを残されていますので、そちらを翻訳しました。翻訳記事内に講演で紹介された製品名が複数ありますが、当記事の最後に製品紹介サイトのリンクをまとめておきました。元記事:Web Directions East: Future of the Web, July 27, 2012

 


 

東京で行われたWeb Directions Eastで、John Allsop氏は、Webの未来とブラウザがその一部でしかない理由について概説しました。以降は氏の話からの私のメモです。

 

●Netscape4で1996年のWebページを見てみると、今もあまり変わっていないことがわかる。ブラウザの機能とWebページのデザインの機能性は、15年前も同じように構成されている。同じことは検索エンジンにもいえ、何年も前と同じように見える。
●私たちはWebが大きく変わったと感じているが、同時にほとんど変わっていないという事実には目の覚める思いの方もいるのではないか。

 

●では何が変わったのか?Javascriptエンジンのスピード、GPU、CPUが劇下的に上昇した。より多くのWebソリューションが、データの高速での読み書きのためにクラウドを使用している。今では、Webを使用できる場所を劇的に増やしたワイヤレスネットワークがある。新たなデバイス(タブレット、スマートフォンなど)や新たなユーザーが大幅に成長してきた。Web開発者のためには、HTML5で有効に活用するための豊富な新API(記憶位置、画像/カメラなど)がある。

 

●このような変化が起きているのに、なぜ我々は未だに1998年と同じWeb体験を構築しているのか?我々はデバイスとやりとりするため、いまだにクリックかタップをしている。我々は画面を見て、それからどう行動するかを考える。

 

●デザイナーやユーザーとして私たちは、まず始めにスクリーンを考え、そして人々が何をタップしクリックするかを考える。今日のWebはスクリーン+クリックである。これが私たちが真っ先に考慮するモデルである。これがWebの唯一の在り方であるとする考えを変えなければならない。

 

●代わりに、私たちは受動的なインタラクションというものを考える必要がある。人々がインタラクションを起こす際に意識的にどう行動するか考える必要がない、というものである。

 

●人々は世界とインタラクションを行うことで、日常生活の情報を生成する。我々はデザインエクスピリエンスへのこの情報を使用せねばならない。

 

 

未来のプロトタイプ

 

●現在使用可能なデバイスの一部は、将来を示してくれる。

 

●例:”Ninja Block”という製品はセンサーを使って、周辺環境から情報を収集して混ぜ合わせ、Webに送信する。Supermechnicalsの”Twine”も似たものである。これらの製品は、「誰かが部屋に入った」とか「この植物は今水を必要としている」などを感知できる。

 

●Belkinの”WeMo”では、リモート電源コンセントに挿し込んだあらゆるものをWebを介して制御できる。

 

●モバイルデバイスは、まだ潜在的な可能性を最大限に引き出されていない。携帯電話にできることをタップで指示しているだけである。携帯電話を通じてコンテンツへのアクセスを提供することは良いスタートではあるが、将来にはもっと多くの機会があるだろう。

 

●”Safecast”ではオープンソースハードウェアで放射線レベルを記録し、Web上でそれを共有できる。数日と僅かな資金を費やして、日本では全国の放射線測定のためにネットワークが1つ構築された。

 

●デジタル接続された体重計は、個人のフィットネスデータを測定・共有してくれる。使用者はその上に立ちさえすればよい。これまでと行動を変える必要はない。体重計はデータを集めるためにあなたの毎日のインタラクションを使い、そしてそれをオンラインに置く。

 

●”Motoactv”は、時計の形をしたアンドロイドコンピュータである。活動や血圧など、人々が健康ニーズを把握するために役立つ情報を追跡する。

 

●こうしたデバイスは全て、ブラウザ外の日常生活におけるあらゆる場所からのWebの使用を考慮している。ブラウザが今後重要でないという意味ではないが、これはWebの将来のほんの一部にすぎないということである。

 

●ソリューション構築を支援するため、私たちが持っている今日の技術を活用せねばならない。私たちは将来を考えるとき、今日とは異なるものと思い浮かべる。しかし、技術はすでに豊富にある。今日私たちが手にするアイディアや技術をいかに組み合わせるかが問題なのである。

 

●将来のWebは我々が長年温めてきたアイディアに近く、しかも現実のものとなる。Webに携わるものとしてはエキサイティングな時代である。

 

 


 

Ninja Blocks : http://ninjablocks.com/
Twine : http://supermechanical.com/twine/

Wemo : http://www.belkin.com/wemo/
Safecast : http://blog.safecast.org/ja/
Motoactv : https://motoactv.com/

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