モバイルファースト提唱者来日。”Web Directions East 2012″ 参加レポート

Posted by 角谷 仁 

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7月29日に大阪TAMコワーキングスペースで開催されたWeb Directions East 2012に参加しました。この日は、MobileFirst.jpでもお馴染みのLuke Wroblewski氏と、Web Directionsグループ代表のJohn Allsopp氏が講演されました。今回はLuke氏の講演内容をレポートしたいと思います。

モバイルデバイスの台頭

モバイルデバイスは世界で70億台近く存在。人間の子供が生まれるよりも速いスピードで次々と生まれています。「ラジオ、テレビ、インターネット、そしてモバイルとメディアは変化してきましたが、いつだって新しいデバイスが出てきたときは、過去のやり方を新しいデバイスで踏襲していました。例えば、テレビが出てきた当初の番組は、パーソナリティが原稿を読む姿を映す、というものでした。」モバイルもPCをそのまま踏襲するのではなく、モバイル独自のやり方を考えようという話から始まりました。

 

モバイル独自のやり方を考えるために、今回は『ログイン』と『支払い(CHECK OUT)』という切り口で、モバイルで使いやすいサイトにする方法を掘り下げました。また、それぞれの未来の姿、というのも紹介されました。

 

「ログイン」

「多くのユーザー(例えばYahooなら80%のユーザー)がログイン情報を忘れます。ヘルプディスクで最も負担になっているのが、その問い合わせ対応です。また、e-Bayでは問い合わせの90%はログインに関することです。」

 

Luke氏は、「スクリーンが小さいからといって必要な機能を省略してユーザーの行動を制限しないことが大事です」と解説した上で、ビジネスのロスを防ぐため、様々なユーザビリティの配慮を紹介。例えばログインの際に、文章のオートコンプリート機能を使う、パスワードは見せる・隠すを選ばせる、入力を間違った時はメールを送る、二回目以降のログインは自動にする、といった配慮をしよう、ということでいくつかの事例が取り上げられました。

 

また、ログインの未来について。

例えばwindows8は、写真をタッチするパターンを記録してログインに使う、という機能を搭載していて、とても”人間らしい”ログイン方法だと紹介されていました。

 

さらに「Android 4.0に搭載されたカメラの顔認識機能で(Facial Recognition)ログインさせるということも今後可能になります。今は対応しているブラウザがないがGetuserAPIを使うことでブラウザからも可能です。」

Luke氏は、未来は、実はすでに存在する技術から読み取ることができる、と力説されていました。

 

「支払い」

「2011年にショッピングカートの途中で購入をやめた人の割合は75%。買うというステップに当たって必要な手間を減らさなければならない。」

 

そのために、例えばクレジットの番号、有効期限などを複数の入力フィールドにせずに一つにしてしまう、というユーザビリティの配慮方法について事例を取り上げながら詳しく紹介されました。

 

将来的には、例えばTESCOのバーチャルモバイルショッピングの事例を見ながら「外で商品を買って家に帰ったら届いている、ということになるかもしれない」と紹介。

↑当日はこの事例が紹介されていました。(画像をクリックすると動画が閲覧できます。)

 

さらには、「店舗では、レジに並ばなくてもQRコードからウェブで精算して持ち帰れるかもしれない。また、もしかすると外で商品の購入手続きを済ませて、店舗では店員から商品を受け取るだけ、ということになるかもしれない」という未来像が紹介されました。

 

Luke氏のセミナーは、「ラジオ、テレビ、インターネット、モバイル。次は何かくるだろう?いづれ分かることでしょう。」と締めくくられました。講演は大変わかりやすく、また面白い内容で今後のモバイル中心のウェブコミュニケーションがとても楽しみになるような内容でした。

 


 

John Allsopp氏の講演は、Luke氏がまとめを掲載していますので、こちらを次回の翻訳記事としてご紹介したいと思います。

Web Directions East: Future of the Web

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