モバイルファーストを考える:ガラケーとスマートフォンのアプローチの違い

Posted by 角谷 仁 

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4年ほど前のガラケー全盛期、『24時間30cm以内メディア』という言葉が流行りました。この言葉は、モバイルは一日中手元にある端末なので、いつでもどこでもユーザーにアプローチすることが可能、という意味で使われていました。その点ではガラケーもスマートフォンも全く同じことが言えます。ただし一方で、ガラケーとスマートフォンは端末性能が異なります。また今は数年前と比べてコミュニケーションをする環境も変わりました。そのため、ガラケーとスマートフォンではアプローチに違いが生まれます。今回は、ガラケーとスマートフォンのアプローチについてご説明します。

 

ここは同じ:アプローチする時間・場所の広がり

常にユーザーの手元にあるのがモバイルです。つまり、ガラケーでもスマートフォンでも、アプローチの際は『ユーザーの生活(=コンテキスト)から考える』という点は同じです。時間・場所に制限されることなくユーザーにアプローチすることが可能です。

例えば、雨の日に客足が悪くなった女性向け店舗の場合。アフターファイブを狙って17時に雨の日クーポン付きの携帯メールマガジンを送ることで来店促進につなげることができます。その際にGPS機能を使って近くの店舗が探せても便利ですね。他にも、マクドナルドやドミノピザなどは昼食前の空腹時にメルマガを打って来店促進しています。(金曜の昼前に集中するのはなぜでしょう?)

 

こういった時間・場所を超えたアプローチは、ガラケー、スマートフォンどちらでも可能です。

 

 

こは違う:アプローチの手法

一方で、アプローチの手法はガラケーとスマートフォンでは大きく異なります。

ガラケー時代
ガラケーでは検索エンジンがあまり使えませんでした。検索をしても思い通りの結果が出てくれないという記憶がある方も多いでしょう。そのため、ポスターやパッケージなど様々な媒体にQRコードを掲載して、サイトへ流入させる手法がメインでした。

 

また画面が見にくい(画面が小さい、表現力が比較的弱い)という制約が働いたため、企業側から本来伝えたい情報(製品情報など)が十分に伝えられませんでした。なので、ガラケーの時はサイトでユーザーを会員化し、そこで待ち受けやデコメなどのインセンティブを配布してエンゲージメント(=ファンになってもらう)を行うという手法が主流となりました。

 

スマートフォン時代
一方スマートフォンでは、検索エンジンが使えます。Livedoor Smartphoneの月間PVはすでに13億を突破しており全体の約1/6を占める形となっています。気になる時はいつでも検索して調べることができる時代です。また、ソーシャルメディアが台頭してきたことで、企業と消費者のコミュニケ―ション(ファン化)はそちらで行われるようになってきています。

 

そして画面がガラケーに比べて見やすい。指で拡大縮小・スクロールできる快適さもあり、スマートフォンはガラケーに比べて情報収集力が優れています。

 

つまり、スマートフォンの登場によって『ユーザーが、その利用シーンにおいて必要とするあらゆる利便性を提供できるようになった』と言えます。モバイルファーストにおいては、消費者がサイトに望むことと企業がサイトで達成したいビジネスゴール両方を考えることで、最終的には『その企業本来のサービス(コアバリュー)が残る』と言われています。

 

livedoorメディアガイド スマートフォンメニュー NHN Japan 広告事業部 2012年 7-9月期メニュー

 

スマートフォンの戦略を考えるときは、単純にガラケーの戦略をスマートフォンでも実施するだけでは不十分ということを念頭に置くことが重要ですね。

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