なぜO2O施策が必要か ~その現状と事例~

Posted by 服部 丈 

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O2Oとはオフラインからオンライン、もしくはオンラインからオフラインへとユーザーを送客することを指します。昨今、消費を考える上でキーワードとして様々な業界から注目を浴びています。
街のいたる所で見かけるQRコードから、いつでもオンラインへと誘導することもできる(画像はFacebook本社の屋上に登場した巨大QRコード)

 

なぜO2Oか

私たちは今「物を買わない」時代を生きていると言われます。消費マインドが冷え込み、良い商品を作るだけでは必ずしも売上につながらない。そんな状況を打破するために、消費者の購買を喚起するような仕組みとしてO2Oが脚光を浴びるようになってきました。

O2Oの利点は大きく分けると次の3つになります

・新しく顧客との接点を作り出す
・ゲーム要素を導入して購買意欲を高める
・新しいユーザー体験をきっかけに、顧客のロイヤルティを高める

従来はプッシュ型の広告から顧客の喚起を促すという流れが一般的でしたが、顧客を「巻き込む」ことで商品への興味を生み、購入につなげる試みが増えています。O2Oは、その代表例といえますね。


スマートフォンが果たす役割

オンラインからオフラインを結ぶ上でカギを握るのがスマートフォンです。GPSで位置情報を取得し、NFCを使って端末上に情報を入手。高機能なWebサービスを利用するために必要な機能を装備したスマホが登場したからこそ、様々なアイデアを形にすることができるのです。
展示会など「リアルいいね!」を目にする機会は増えている


O2Oの現状

動きが活発化してきたのは昨年あたりからです。まずサイバーエージェントと凸版印刷が3月に「リアルいいね!」プロモーションに関する協業をスタート。5月には「LinkPlace」というプロモーションサービスにゲーミフィケーションの要素をプラスするなど、様々な形で仕掛けています。そこから口火を切ったように様々な企業も、市場へと乗り込んできました。

Google+の「ローカル」で検索すると、位置情報とソーシャルグラフが結び付けられた結果が表示される

位置情報を利用したサービスとの連携も進んでいます。この分野では海外ならばfoursquere、日本でもyahoo!ロコロケタッチといったアプリ・サービスが知られています。最近ではcompath.meのように位置情報とソーシャル、そして店舗送客までを絡めたサービスも登場しています。ユーザー体験をリッチにするための工夫は、ますます増えていくでしょう。

企業間の動きも活発です。ソフトバンクはpaypalと提携してモバイル決済の分野に進出したかと思えば、yahoo!JAPANもCCCとの提携を発表。ポイント・サービスなどを絡めて消費者の興味・関心を引き起こそうと動いています。Webの巨人もこういった動きを見逃しません。Googleは「プレイス」と呼ばれる機能と、Google+を連携。ザガットの店舗情報を表示させるなど、様々な情報をたくみに結びつけることでユーザーの興味を呼び起こすことを目指しています。


事例

海外では積極的にキャンペーンへとO2Oが採用されています。

まず紹介するのは、米国におけるNEW BALANCEの事例。

たとえばスマートフォンから「NEW BALANCE」と検索ワードに入れると、商品の価格、ディテールなどと同時に近くの店舗を表示します。その場で在庫を確認することも可能なため、ユーザーは安心して店舗へ出向き、確実に商品を手にすることができます。
new balance O2O

日本ではLawsonがソーシャルメディアを絡めながら、積極的にオンラインから実際の店舗へと送客をすることを試みています。最近、話題になった例ではLINEを利用したクーポンの配布。今月に公式アカウントからLチキが半額になるクーポンを先着50万人にプレゼントし、各種SNSでは大きな反響を呼びました。Loppiのように店舗の端末も完備するなど、ソフト・ハードともに進化を続けています

スマホの登場でWebを利用した戦略にも色々な選択肢が次々と生まれています。その中でもO2Oへの注目度は上がる一方。スマホの普及と同時に、オンラインとオフラインの垣根が崩れていくことを感じます。

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